保釈とは
1 保釈とは
保釈とは、保証金の納付などを条件として、勾留の執行を停 止し、被告人の拘束状態を解く制度です。保釈が請求できるのは、起訴された後になります。
保釈の請求が認められているのは、勾留されている被告人またはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族もしくは兄弟姉妹になります。
保釈が許可される場合には、住居の制限、移動制限や共犯者との接触制限などの条件が付される場合があります。
2 保釈の種類
保釈には、①権利保釈、②裁量保釈、③義務的保釈の3つがあります。
(1)権利保釈(刑事訴訟法89条)
権利保釈とは、被告人が証拠を隠滅するおそれがあるなど一
定の事由がある場合を除いて、被告人の権利として保釈が認め
られるものです。
(2)裁量保釈(刑事訴訟法90条)
裁量保釈とは、権利保釈の要件を満たさない場合であって
も、裁判所の裁量によって保釈を認めるものです。
(3)義務的保釈(刑事訴訟法91条)
義務的保釈とは、被告人の勾留が不当に長引いたときに、請
求または職権により保釈を認めるものです。
3 手続の流れ
(1)保釈請求
裁判官・裁判所に対し、保釈請求書を提出します。その他
に、身元引受書(釈放された被告人の身元を引き受ける者が作
成した書面)や保釈
の必要性を説明するための書類も提出します。
(2)検察官の意見聴取
裁判官・裁判所から担当検察官に対し、保釈に関する意見を
求めます。
実務上、担当検察官の意見が保釈の判断に影響を与えること
が多いといえます。
(3)保釈の許可・却下決定
裁判官・裁判所は、担当検察官の意見を踏まえ、保釈を認め
る場合には、保釈許可決定を、保釈を認めない場合には保釈却
下決定を出します。
(4)保釈保証金の納付
裁判官・裁判所が保釈許可決定を出した場合、保釈許可決定
に記載された保釈保証金を納付します。
保釈保証金は、被告人を釈放後、被告人が逃亡あるいは証拠
隠滅などの行為に及んだ場合、保釈保証金を没収することで、
経済的な威嚇を与え、勾留の目的を担保するものです。
保釈保証金は、個別の事案に応じ、裁判官・裁判所がその額
を決定しますが、概ね150万円から200万円くらいである
と思われます。
なお、無罪、執行猶予、実刑判決などの言い渡しがあったと
きは、没収されなかった保釈保証金は還付されます。
(5)釈放
保釈保証金を裁判所に納付した後、被告人は釈放となりま
す。