親権について

1 親権とは

 夫婦が離婚した場合で夫婦間に未成年の子がいる場合には、どちらか一方が子の親権者となります。夫婦間で離婚の合意ができていても、親権者として父母のいずれを指定するか合意ができていない場合には、協議離婚はできません。

 そうすると、離婚調停の申立てとあわせて親権者の指定の申立てをすることになります。調停の話し合いで解決できない場合で、裁判で離婚が認められる場合には、

裁判所の判決で親権者が指定されます。

2 親権者指定の判断基準

 親権者の指定の際には、①監護の実績の尊重、②子の意思の尊

重、③母親の優先、④兄弟の不分離、監護能力などが考慮されま

す。なお、経済力については、あまり重要視されません。

 

1)監護の実績の尊重

  これは、現状維持、現状の尊重を意味します。子どもが幼稚園、あるいは小学校に通っている場合には、現状を変更すると転校しなければならなくなるというようなことが考えられます。

 

2)子の意思の尊重

  子どもがおおむね、10歳前後、小学校の高学年くらいであれば、子どもの意思を尊重して、母親がいいのか、父親がいいのかを聴き取り、親権者の指定に際して参考にします。

 

3)母親の優先 

  子の年齢が低いほど、母親が親権者に指定されやすい傾向があるといえます。

 

4)兄弟の不分離

  子どもは、父、母とは別に、兄弟のなかで揉まれて人格形成をするという要素が大きいため、できる限り親権者の指定にあたり兄弟を分けないことも判断材料になります。

 

5)監護能力 

父母に子を監護する能力があるか否かも親権者指定の判断材料になります。平日の昼間働いているのであれば、その間の養育はどうする予定なのか、住む場所はどうするのかといったことが挙げられます。

 

  親権者の指定に関し、ご質問のある方は、個別に弁護士にご相談ください。